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『アマゾンのシャーマン』読後感

 どんな本?

 

今回読んだのはこちら。

 

アマゾンの呪術師(シャーマン)

アマゾンの呪術師(シャーマン)

  • 作者: パブロアマリンゴ,Pablo C´esar Amaringo Shu〓@7ACA@na,永武ひかる
  • 出版社/メーカー: 地湧社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 単行本
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これ読んだことあってこのブログに辿り着く人いないやろ、ってくらいにはマイナー本な気がする。学者さんとかの間では知られてるのかもしれないけど。

僕が読んだのは実際にアマゾンでシャーマンの儀式を受けたことがあるからだし、自分から探さなければめったに出会うことのない1冊だろう。

 

この本は、かつてアマゾンでガチのシャーマンをやっていたが今はその語り手となった男の語りを、ある日本人が翻訳・構成し1冊の本にまとめたものだ。

 

作者紹介

 

まずは語り手から。

 

パブロ・アマリンゴ(Pablo César Amaringo Shuña)

1938年ペルーアマゾンに生まれる。貧しさから偽札製造に手を出し、数回に渡る逮捕歴があるが、30歳を過ぎて改心。農夫・漁師などを経てシャーマンになり、治療師として活躍する。引退後は画家活動や美術による教育を行うウスコアヤール学校を設立。世界で絵画展を開催し、1994年には来日もした。絵画作品および美術活動を通して自然との共生を呼び掛けている。

 

 

次に構成・訳者。

 

永武ひかる(ながたけ ひかる)

写真家としてアース・スピリットをテーマに世界各地で撮影取材を行う。東京外国語大学ポルトガル語学科卒業。1988年より南米での撮影取材を行う。語り手のパブロと出会ったのは1991年。2000年から世界の子どもたちが写真を写す非営利のワンダーアイズプロジェクトを主宰し、世界の子どもたちとのワークショップや写真展も多数プロデュース。日本写真家協会会員。著書に『マジカル・ハーブ』、『アマゾン漢方』がある。

 

内容

 

内容を軽~く紹介してみる。1人にでも興味を持ってもらえたら嬉しい

 

 

呪術師(シャーマン)とは

 

パブロの語りによれば

「薬草やテレパシーなどさまざまな知識と技を駆使して、人々を癒し、心身の健康をもたらす。だが、それだけではない。植物を煎じて飲んで精霊世界と交信したり、大地、火、水、樹木、動物、大気、雨や太陽など自然を活用する仕方を心得ている。」

とある。簡潔に言えば、主にすることは人々の治療と精霊との交信ということだ。

 

更にこう続ける。

「よい呪術師は、自然やそこに存在する霊性を尊び、信仰や神話世界を敬いながら、人々を守り、霊的な教えを施す。霊的な世界について、より理解を深めるように、教えを説く人々なのだ。」

やはり霊的なものとの繋がりを重視していることが分かる。

 

よいシャーマンになるためには人里離れた森の奥に独りで籠ったり、塩や砂糖すら許されない食事制限などの厳しい修業が必要だそうだ。

 

「学ぶための謙虚さ、悦びをもたらすための愛、よりよく生きるための霊性」の3つの要素がよい呪術師になるために重要だという。

 

治療のための呪術と呪いをかけるための呪術があり、どちらも学ぶ必要があると言う。いくら素晴らしい治療師であっても、自身や家族を守るためには呪いを防ぐ術を知らなければいけないからだ。だが悪い呪術師は、呪いの呪術だけを学ぶのだという。そして、それは治療の呪術を学ぶよりはるかに楽な修行で身につけられるらしい。

 

 

アマゾンの秘薬アヤワスカ

 

アマゾンでは病気になったり家族に災いが起きると、アヤワスカを使うシャーマンに相談するというのが古くから伝わる文化だという。僕も実際にアマゾンへ行き、シャーマンにアヤワスカを飲ませてもらったことがある。まあその時の話は別の機会にするとして、このアヤワスカはどうやらインカ帝国で生まれ、その教えはインカの王家からインカの人々へ、そしてインディオの部族へと伝えられたらしい。

 

アヤワスカには呪いに使われるとか、幻覚を起こすものだとか、ネガティブなイメージが持たれやすい。実際、ビジョン(幻覚)を見ることもあるし(僕は見た)、効き目が強すぎるのでちゃんとしたシャーマンのもとで飲まないと死ぬこともあるという。

だが、アヤワスカはそもそも医薬だという。身体を清め、免疫を高める効果があるらしい。たしかに僕も飲んで幻覚に苦しんだ後はとてもすっきりした気分になり、体が軽くなった気がした(危ないこと言ってる気がする笑)。

 

アヤワスカにも良し悪しがあり、その見分け方や、薬の調合の仕方などの知識を持った、よいシャーマンのもとで飲むことが重要だと言う。

 

 

精霊の力

 

シャーマンになる修行を続けていると、精霊世界と交信できるようになるらしい。そして精霊と交流する中で精霊が自ら、医学などの様々な知識を教えてくれると言う。ただ、この力には個人差があり、やはり向いている者とそうでない者はいるらしい。

 

シャーマンは精霊の力を借りて人々の治療をするわけだが、中にはその力を使い人に呪いをかける者もいると言う。良いシャーマンもこうした呪いを防ぐために呪いの知識は身につけることは先ほども書いたが、こうした際にはシャーマン同士の精霊を使った闘いがあるらしい。

 

シャーマンはイカロを歌う。イカロとは精霊の歌の意味で、シャーマンのパワーソングだ。植物の精霊が教えてくれるらしい。

イカロには様々な種類があり、目的に合ったイカロを歌う。例えば雨を降らせたり止ませたりしたいと時には電磁力の主、サチャママのイカロを歌い、言葉に長けた子にしようと思えば、様々な生き物の鳴き声を真似るパウカル鳥のイカロを歌う。人の動きをのろくさせたい時にはナマケモノのイカロなんかもあるらしい。

 

更にパブロは「あらゆる動物、鉱物、植物のイカロがある。」と語り、その場所にずっと住んでいてほしい人がいれば、石のイカロを歌えばいいと言う。どうしても愛しの我が子に家を出てほしくない親御さんには需要があるかもしれない。

 

因みに僕が歌ってほしいのは、朝が弱い人に歌えば明け方から外に出て活発に動くというカワウソのイカロだ。ひょっとして、日本にシャーマンがいたら大学生の1限出れない問題は解決するのではないか。

 

 

読後感

 

正直、アマゾンでの暮らしに染まっていない僕には論理の飛躍や理由の後付けが感じられるところも随所に見られたが、実際にシャーマンをしており、実力も折り紙つきだったというパブロの口から語られるシャーマンの世界はこの本を読まなければ一生知ることがなかったかもしれない。その意味で、この1冊は他の本では代替のきかない、残るべき1冊なのかもしれない。

 

 ここで紹介した内容以外にも、パブロがシャーマンになった理由や、シャーマンの世界を捨てた理由など、なかなか知ることのできない内容が述べられている。実際に彼の語りには多くの学者が関心を寄せたという。160p弱で1ページの分量もそんなに多くないので、分厚い本を読むのは苦手だという人でも読むことができると思う。

 

アマゾンは蚊が多くて虫が大の苦手な僕には苦痛も伴ったが、それ以上に素晴らしい体験ができた。この本を読んでアマゾン乃至シャーマンに興味を持った方は、是非一度、検討してみては?ただし、自己責任で笑(ガチでやばいですからね笑)